2016年3月25日金曜日

【Noisey】SXSWとBABYMETALについてNoiseyが報じる

まずSXSWはいわゆるフェスとは異なり、多くの会場を使い10日間かけて行われる音楽やいわばエンターテイメント全般の見本市です。その中心に音楽があります。
音楽版のモーターショーやゲームショーのようなものと理解していただければわかりやすいかと思います。TOYOTAや任天堂のブースの代わりに、レーベル、雑誌社、バンド主催のショーケースがあるようなものです。
新たなツアーやリリースの商談に繋げたり、世界中から集まる評論家やメディアへの露出をはかるためのライブやプレゼンを行う場であり、お客さんを満足させるためだけの場ではありません。

それでは以下、記事訳です。

速報: SXSWにおけるメタルの存在感は未だに絶望的

Andy O'Connor著

昨年、俺はメタルとSXSWの関係性について非常に厳しい分析をした。端的に言えばそれぞれ互いに対する軽蔑を記録に残した: SXSWはメタルに惹きつける力があるとは見ておらず、一方メタルヘッズは彼らやその音楽に一瞥もくれないフェスティバルをますます嫌悪していた。今年、その事はますます悪化していたとここに伝える。公式のショーケースが過去以上に貧弱だっただけでなく、そのフェスをメタルヘッドとして楽しくための主な鍵となる非公式のライブでさえも違いを生じさせるための熱を生む動員が不十分であった。SXSWのオフィシャルプログラムから完全にメタルが取り除かれている事は、俺にとってショックでも悲しくもなかった。クソ。俺は失望して、さらにはその事さえも感じなくなってきつつある。
(中略: SXSWでのメタルライブについてのレポート等)

Post Malone*1のマリファナ運び人になる事さえかなわないラッパー達のミックステープとフライヤーの廃棄場所となっていた6番街とイーストオースティン辺りを歩いていると、BABYMETALを宣伝するポスターを多数見つけた。活動過多でかわいこぶったイメージでNu-MetalとDeathcoreを贈り届け、多くのメタルヘッズを激怒させた日本のガールメタルバンドだ — 彼らが怒る理由は、思春期の頃から過保護に与えられてきた人工的な反逆心を見せるバンドと比べてもBABYMETALがより本物だと感じられたからかもしれないが。すぐに俺が思ったこととは: 一体絶対なんでBABYMETALはSXSWにブッキングされてないんだ?異端のように聞こえるかもしれないが、まさにSXSWが必要とするずば抜けたメタルのライブそのもの、もしくはその日のFader Fort*2を乗っ取る事ができたずば抜けたメタルだったかもしれないのだ。

第一に彼女達には普段メタルを聴かない人々を巻き込めるフックがある。
他ジャンルからの観光客は私もあまり好きではないが、ウイスキーのショットで呑んだくれながら客がくるように願ってる同じマヌケ共では会場を埋める事はできない。
俺はいつだろうとBeach Slang*3よりBABYMETALを選ぶ — 女と寝る事について人生の半分の間歌い続けてるものより、チョコレートについてのど派手な曲を選ぶ。二つ目に彼女達はヴァイラルになっていながらも評価が定着したバンドではない。SXSWは最終的な世界征服への決定的なステップになり得る。

そうでもないかもしれないが。もしかすればメタルバンドにとってファンを形成し、露出をはかる上でSXSWは不必要なのかもしれない。証拠って?Deafheaven>*4を見てみなよ。SXSW初期においての中心であった彼らも2013年以降は省かれているが、その事で僅かにもダメージを負っていない。
(中略: 他のツアーを優先してSXSW出演を見送ったバンドが成功をおさめた例など)

加えればGhostはSXSWでライブを一度たりとも行っていないが、グラミー賞を獲得したじゃないか!BABYMETALと同様に彼らもSXSWに最適なビジュアル性、異なるスタイルを併せ持ったバンドだ。SXSWでの露出とグラミーノミネートに確かな相関性があるわけではないが、最低でも一つの巨大メトロ誌の音楽評論家はAnderson Paak*5のライブを飛ばしてPapa Emeritus III*6が歌い上げる様を見に来ただろう。

このフェスがメタルを正しく取り上げてくれる事への希望を捨てる時なのかもしれない。街中で全てのメタルライブ会場で「お前どこにでもいるな!」って最低1度は声をかけられる身として、それはそれで構わない。メタルじゃない友達とジャックダニエルとレッドブルをがぶ飲みしながらDrake*7でパーティーするバケーションでもとるよ。(母さんごめんよ)


訳者注釈:
*1 Post Malone

Hip Hop、R&Bプロデューサー。

*2 Fader Fort
NYを拠点にした音楽雑誌The FADER主催のショーケース。
The FADERは日本版も発行されていた時期があるが現在は休刊している。
招待を受けた関係者以外は入場できない。

*3 Beach Slang

アメリカのパンキッシュなインディーロックバンド。

*4 Deafheaven

シューゲイザー的なアプローチを見せるアメリカのポストメタルバンド。

*5 Anderson Paak

R&B、HipHopシンガー兼ラッパー。
2016年注目株の新星。

*6 Papa Emeritus III
Ghostのボーカリスト。

*7 Drake

ラッパー、R&Bシンガー。
メインストリームでの成功と実験性を両立しており、先鋭的なトラックを数多くヒット作に導いている。

ソース: noisey

4 件のコメント:

  1. い、言えない…
    「BABYMETALにオファーはあったけど、学校の試験のために断ったみたいだ」だなんて…

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  2. メタルおまいつさんのSXSW考ですね。
    笑わせてもらいましたが、文体に反比例する真面目さの滲みがメタルを愛するが故の憂いを伝えてきます。
    一つ前のレビューと合わせ、BABYMETALをメタルの希望、あるいはメタルの未来と密接な関わりを持つと捉える人が本当に増えてきているようですね。
    翻訳/紹介ありがとうございます!

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  3. メタル・ソサエティとBABYMETALとが、WIN-WINの関係に? 彼女たちがグラストンベリーの観客を笑顔のmoshに巻き込むのは何時だろう。

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  4. すげーな。

    『BABYMETALよ マイナーなメタル界を救ってくれ』

    って話だろ?

    何じゃこりゃ!? と思われたのが2014年 だとして 2016年には
    既に 『メタル界から依存される存在』 になるとは。

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